82夜/フォー→アレン
眠い。こんなに長い時間実体化していた事など今までになかった。そもそも身体は既に動かない、両手と片足を分解されている。腹にも穴が開いていた。
「何なんだい、お前は」
気味の悪い機械音声が鼓膜を揺らした気がして、意識を引き戻した。閉じかけていた瞼の裏にあいつの顔が見えた気がした。岩壁で閉ざされる直前の、やめろ、行くなと叫んだ最後の、顔。
年は15だと聞いた。あんなナリで人一倍重いモノを抱えて、武器を失った事にとにかく酷く焦っていた。必死に足掻いて足掻いて、自分の優しさのせいで足下まで見失うくらい幼くて、あんな子供は初めてだった。バクはもっとガキだった気もするけど。
それでも灯を受け取ってありがとうと言ってこの手をもう一度頼ろうてしてくれたあいつを、あたしはせめて、
「……ただの、子供だよ」
(だってあたしは守り神だから決してそれは同情なんかじゃなくて)
瞼の裏で
それでも折れた剣は
光を放ち